キミが望むのなら


そのことが、あたしを嬉しくて堪らない気持ちにさせた。



「あたし、何も特徴のない子だから……」




――『お前みたいな、なんの特徴もないやつ、誰も相手してくれねぇよ?』



彼氏にまで、そんなことを言われたあたし。


そんなあたしが……面白いなんて。


「そうかな?俺には桃香ちゃんはすごく魅力的に見えるけど?」


「っ///」


恥ずかし気もなく、サラッとそんなことを言ってのけてしまう悠君。



「だってさ、本当は今日のこのダブルデートも、桃香ちゃんは乗り気じゃなかったんだろ?」



「え……?あっ、その、それは……」



そんな態度に出てた!?


それってすごく失礼なんじゃ……


「あっ、怒ってるわけじゃないんだよ」


すぐにあたしの気持ちを読み取って、否定してくれる。


「何かと理由をつけて、断ることもできたのに、美樹ちゃんのためにそうしなかった。それって友達思いで、とても魅力的だと思うけど?」



……涙が出そうだった。


こんなこと、誰もあたしに言ってくれたことはなかった。




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