キミが望むのなら
「とりあえず、そいつの手、離して」
「あのっ……あつ……」
「いいから離せって言ってんだよっ!!!」
――ビクッ
結構街中だったせいか、歩いている人が、チラチラあたしたちを見ている。
――グイッ
「きゃっ!!」
無理やり離されて、篤志の方に引き寄せられた体。
「てめっ……人の女に何勝手に手ぇ、出してんだよ……」
篤志の怒りがピークに達しているのは、一目瞭然だった。
「ち、違うのっ!!悠君は……」
「桃香は黙ってろっ!!」
「痛っ!!」
ギリッと爪が食い込むほど、篤志があたしの腕を掴む。
「っ!やめろよっ!!痛がってるだろ!!」
悠君が篤志の腕をほどこうとする。