キミが望むのなら


「あの時のお礼をどうしてもしたくてぇ~~」



「お礼なんて別にいいよ。気にしないで」


笑顔でそう返してくる。


あら、意外。


今までの男の子なら、ラッキーと言わんばかりに美樹に興味を示すのに。



この人は全く笑顔を崩さずに、しかも全く美樹に興味はないようだ。



でもこの容姿なら納得かも。


ふんわりとした茶髪に、可愛い系の顔。


俗にいう、イケメンというやつだろう……



つまり、こういうことも慣れているんだろうな……


でも、美樹がここで諦めるわけがない。



「それじゃ美樹の気がすまないのぉ!お礼させて!お願いっ」


上目遣い+お願いポーズ。



さすが魔性の女。


「あ~、じゃあそこの自販機で何か奢って」



彼も彼で、なかなな手ごわい。


近くの、しかも自販機を指名するとは、すぐに終わると見込んでのことだろう。




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