キミが望むのなら
「桃香?どうしたの?」
「えっ……?」
「ボーっとしちゃって」
美樹ちゃんが話しかけると、ハッとしたように声を出して謝った彼女。
その時、初めて彼女と視線が合った。
「“初めまして”。紺野悠です」
――“初めまして”
そう言ったのは咄嗟だった。
「は……じめまして」
少し震えている彼女の声。
でも、やっぱりあの彼女だ。
いつのよりおしゃれをしていて、化粧も綺麗にしている。
正直、可愛いと思った。
雰囲気が違うからか、そのギャップに胸がドキッとしてしまった。
俺って、ギャップに弱いのか……?
それから信二の提案で、映画に向かった。