【番外編】ルージュはキスのあとで
色ボケにはご注意を!
ルージュはキスのあとで 番外編
色ボケにはご注意を!
「つまんないなー」
思わず呟いてしまった言葉に、モデルの女の子が怪訝そうに眉を顰めた。
「どうしたの? 進くん。何か言った?」
「ううん、ごめんね。ひとり言。えっと、どの色目が合うのか考えていただけだよ」
そう言ってニコリと微笑めば、目の前のモデルは顔を赤らめた。
「んー、今日は進くんにお任せしちゃう。サラをキレイにしてね」
「もちろん。僕に任せておいてね、サラちゃん」
危なかった。目の前のモデルの名前を失念してしまっただなんて口が裂けても言えないな。
俺は、感情を表に出さないように細心の注意をしつつ、メイクを施していく。
「よし、これで完璧。今日のサラちゃん、とても可愛いね」
「うふふ、ありがとう。進くん。じゃあ、撮影に行ってくるね」
いってらっしゃい、と目尻いっぱい皺を寄せて微笑めば、サラちゃんは嬉しそうに鼻歌交じりでメイク室をでていった。
やっと一人きりになれたことに安堵した俺は、パイプ椅子にドカリと座って呟いた。
「つまんない。まったくもってつまらない」
はぁ、と大きくため息をつきながら、昨夜のことを思い出す。
久しぶりに夜時間が空いた。
弟である京は、一日オフだということは把握済みだった。
だからこそ昨夜……電話したというのに。
都合がつけば飲みにいったりだとか、京のマンションに押しかけて夜通し飲むだとか……そんな楽しいことを考えていたというのに。
「まったく、あの色ボケめ。すっかり真美さんに骨抜きにされたな、京は」
外では相変わらずのクール王子だが、真美さん限定で「誰だ!? コイツは!」と叫びたくなるほどに目尻が下がる京。
あんな京は、はじめて見た。
双子の俺たちなのに、あんな京は他人のように思えた。
「あんなこと言わなくたっていいのにさー」
俺はポンと脚を投げ出し、腕を組んで口を尖らせながら昨夜のことを思い出す。
色ボケにはご注意を!
「つまんないなー」
思わず呟いてしまった言葉に、モデルの女の子が怪訝そうに眉を顰めた。
「どうしたの? 進くん。何か言った?」
「ううん、ごめんね。ひとり言。えっと、どの色目が合うのか考えていただけだよ」
そう言ってニコリと微笑めば、目の前のモデルは顔を赤らめた。
「んー、今日は進くんにお任せしちゃう。サラをキレイにしてね」
「もちろん。僕に任せておいてね、サラちゃん」
危なかった。目の前のモデルの名前を失念してしまっただなんて口が裂けても言えないな。
俺は、感情を表に出さないように細心の注意をしつつ、メイクを施していく。
「よし、これで完璧。今日のサラちゃん、とても可愛いね」
「うふふ、ありがとう。進くん。じゃあ、撮影に行ってくるね」
いってらっしゃい、と目尻いっぱい皺を寄せて微笑めば、サラちゃんは嬉しそうに鼻歌交じりでメイク室をでていった。
やっと一人きりになれたことに安堵した俺は、パイプ椅子にドカリと座って呟いた。
「つまんない。まったくもってつまらない」
はぁ、と大きくため息をつきながら、昨夜のことを思い出す。
久しぶりに夜時間が空いた。
弟である京は、一日オフだということは把握済みだった。
だからこそ昨夜……電話したというのに。
都合がつけば飲みにいったりだとか、京のマンションに押しかけて夜通し飲むだとか……そんな楽しいことを考えていたというのに。
「まったく、あの色ボケめ。すっかり真美さんに骨抜きにされたな、京は」
外では相変わらずのクール王子だが、真美さん限定で「誰だ!? コイツは!」と叫びたくなるほどに目尻が下がる京。
あんな京は、はじめて見た。
双子の俺たちなのに、あんな京は他人のように思えた。
「あんなこと言わなくたっていいのにさー」
俺はポンと脚を投げ出し、腕を組んで口を尖らせながら昨夜のことを思い出す。