【番外編】ルージュはキスのあとで
「わかったわ。あなたに色目を使うようなモデルは、なるべく排除するようにするわ」
「ええ。そういうモデルは、進のほうに回してください」
「あはは! 進くんなら、うまく切り抜けれそうだしね。わかったわ」
私が、深く頷くと彼は、やっとホッとした表情を浮かべた。
だけどね。甘いわね。長谷部京介。
私を誰だと思っているの?
皆藤桐子よ。だてに人気雑誌の担当者をしていないわよ。
こみ上げてきた笑いを、なんとか押し殺して目の前の彼にウィンクをした。
「これは貸しってことで、いいわよね?」
「……」
眉間に皺を寄せる彼。
さぁてと、この貸し。
いつ、どんな形で使ってやろうかしら。
なんだか楽しくなってきたわ。
目の前の気難しそうな男を見て、心の中で笑った。
FIN