冷たい視線は、甘い罠…。【密フェチ】


「お願い。メンバーが一人欠けちゃって」

無理矢理、同僚に連れて来られた合コン。



やっぱり来なきゃよかった。

左から、よく喋る出っ歯の男に、オタクっぽい眼鏡の男、

そして、ずっとつまらなそうにしている無愛想な男。



それでも、必死で盛り上げようとする同僚が健気で、

「血液型って何ですか?」

私も頑張って目の前に座る無愛想な男に声を掛けてみた。



「そんなの聞いて楽しい?」

彼は鋭い目つきで顔を上げる。

もしかしたら、私は睨まれているのかもしれない。



「単なる話題作りですけど、何か?」

そう叫びたい衝動を必死に堪え、愛想笑いでやり過ごす。

話は弾むどころか、萎む以前に、膨らみさえしなかった。



彼は目の前のサラダに視線を落とすと、

フォークを握り、ミニトマトに躊躇なく突き刺す。



そんな彼の視線が急に上がり、私の視線とぶつかる。

その冷たい視線にドキッとして、私は慌てて顔を伏せた。


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