血塗れの蝶
頭が床に付くほど頭を
下げている尚人。

可哀相な奴……。

『もういいや。帰る……。』

「えッ?帰るのか?」

これから暴走があるのに…?

『ごめん。今日はやめとく!
 バイバイッ♪おやすみ……。』

美王はそう言って、帰って
いってしまった。


――――――――――。

この時、美王を帰さなければ、
こんなことにはならなかったの
かもしれない…。

俺と美王がバラバラになったのは
俺のせいなんだ。


どう償えばいい?

美王…?

返事をしてくれ…。


────美王が帰って、数分後…。

~~♪~~♪

「もし…「大変だ!!お前、美王の
 彼氏だろ!?」

電話の相手は、美王の父親だった。

美王のケータイには、俺の
名前じゃなく「美月くん」と
入れてあるから藍桜組の奴等には
「琥畏」だとは気付かない。

もちろん俺も、ケータイには美王の
名前じゃなく「美月 美王」と
入れてある。

なんで美月かって?
そりゃ~、いつか俺は美王と…。

って、何自惚れてんだ!!

「えっと…。美王の
 お父さんですか?」

「そうだ!!って、そんなことより
 大変だ!!」

「どうしたんですか?」

「美王が……美王が……!!!」


―――――――。

ダッダッダッ

俺は走り続けた。
ただ、俺の立場なんか忘れて
走り続けた。

「ハァハァ……。着い、た…。」

俺が辿り着いたのは…。
藍桜組・連合の総合病院。

ガーーー。

「雄牙さん!!」

俺は美王の親父の名前を叫んだ。



それが間違いだった……。


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