血塗れの蝶
『いけね、そろそろ行くか。守、
 あたしは抜けるからセンコーに、
 上手く言っといてくんない?』

「……は、はい!」

少し驚き気味に返事をする守。

『なんでケーゴ?意味わかんない。
 かたっぐるしいから
 やめてくんない?

 …なんかあったら連絡寄こせよ!
 お前のこと気に入ったわ。』

そう言って守の机の上に
あたしのケー番とメアドの書いてある
紙切れを置いて
教室を出る。


すると……。

「すげぇじゃん!お前、いつの間に
 アピールしたんだよ?」

「美王さんってあんな笑い方
 するのかよ?マジで綺麗
 だったんだけど!?」

「美王さんって怖いけど、美人よね?
 あのオーラを消したら
 とても可愛いのに……。」

など、話し始めた。

あたし、笑っちゃったんだ。
そんな風にはしてなかったと
思うけど……。


そんなことを思いながら
屋上へ向かった。




ーーーーーーーーー。

キィィ‐‐‐‐‐。

そんな音を立てながら扉を開ける。
そして、顔を上げ、空を見上げる。

『今日は、快晴か……。』

そう言ってあたしは、寝っ転がり、
目を瞑った。



あたしは、藍桜 美王。
(らんおう みお)
中性的なあたしの顔は、老若男女全て
通用する美貌の持ち主。

耳には、藍桜組の証として貰えるピアス。とは
違う、証のまわりに四神がいる
ピアスと、金と銀の狼が
入ったピアス。鬼の絵が入った
ピアスの計4つ。

反対側も同じく、4つの
ピアスをしている。

髪は銀で、前髪はアシンメトリー。
チャームポイントは
泣きホクロかな?

……なんで自己紹介なんて
してんだろ?少し頭イカれたか?



ーーーーーーーーー。

キィィ‐‐‐‐‐。

そんな音で目を覚ましたあたしは
飛び起きた。

「なんだ?先約いたのか。ちと、
 お邪魔するぜ?」

『テメェ等、どこのモンだ?ここは
 あたしの場所だ。勝手に上がり
 込むんじゃねぇ!!』

キッと思いっきり睨むと
効いたのか、肩をビクッと揺らした。

「んだ?…お前、1年だろ?
 こんなとこでサボってていいのか?」

『センコーなら、黙らしておけば
 いいことだ。
 つーか、お前、さっきあたしを
 恐れただろ?』

「だったらなんだ?」

『恐れたら、そこで自分の負け。
 習わなかったか?
 それでも続けるのは、単なる
 バカだ。』

「…お前の名前、なんて言うんだ?」

『人に聞く前に、まずは自分から。
 それ、常識だから。』

「そりゃ、失礼。俺は赤城 誠
 (あかぎ まこと)こいつは
 櫻木 琥(さくらぎ こう)。」

『あたしは藍桜 美王。』

あたしがそう言うと、誠と琥は
固まってしまった。

こんなの慣れっこなのに……。
少しだけ悲しくなった。

「「………。」」

『なに?』

「お前があの?」

『偽名使ってどうすんだよ?』




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