プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「何、そんな顔して」
「何でもないです。ただ……毎日が嬉しいだけです」
僕は彼女の腕を引き留め、唇を重ねた。ほんの一瞬だけ。許される時間の中で。
「キスだけですよ」
「それが一番大切なことだよ」
「はい。お昼休みが終わっちゃいます。行ってきますね」
不器用にしか愛せない僕に、彼女はいつもやさしく包んでくれて、大切なことを教えてくれ、そしていつも心を満たしてくれる。
美羽に恋をして結婚した時に、僕は彼女以外にはもう何も要らないと思った。
けれど――。