プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「やだ、潤哉さん。一番に下着をプレゼントするの自分がって思ってますか? 絶対にやめた方がいいですよ」

「どうして? やきもち?」

 潤哉さんは楽しそうにそう言うけど、ここは娘のことを思って。

「違います。だって、そういうのって、彼氏にプレゼントしてもらいたいじゃないですか」

 それを言った瞬間に、ピクリと表情を硬くした潤哉さんのことは、知らないフリをしておくことにする。

「だってそうでしょ? 潤哉さんだって私にくれたもの」

「でも、君の初めてだったわけじゃない」

 あぁ、なんか違う方向に……。
 それは、こっちのセリフでもあるんですけど。

「そうじゃないの。やきもち。もうさっきからずっと上の空でしょう。私を一番に考えて」

 私は、なんていうか下手な甘え方しか出来ないけど。
 これが存外、効果テキメンなのだ。

 潤哉さんは、私の髪を撫でて、それから頬をやさしく掬いあげて、唇をなぞった。

 キスの予感に、私は周りを気にするのだけれど、彼にはもう、私しか見えていない。



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