プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 そっと触れて離れて、下唇も同じようにそうして、求めるうちに漏れたリップ音と共に、私の胸の中にシャンパンのような甘酸っぱい感覚が弾ける。

 もっとしてほしくて自分から彼のナカへ舌を預けると、火をつけてしまったみたいで、まるで愛撫するような濃密なキスがつづいた。

「……ん、ストップ、ストップ。それ以上は……」

 さすがに、外ではやめよう。
 いくら公認の仲だとしても、オフィスの外だとしても。路地裏に隠れていても。

 なんだか恥ずかしくなってくる。


「あと少ししたら、戻らないといけないから。君を送ってからにするけど」
「……うん」
「今夜は、なるべく早く帰れるようにする」

 やさしく抱き寄せられてしばし額を預けていると、ポツリと一言、頭上から落ちてくる。

「それから、さっきの。一番に考えてるつもりだけど」

「だけど? 潤哉さんらしくない。歯切れ悪いの」



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