プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
(2)独り占めさせて <潤哉>
美羽の様子がおかしい。
僕は後ろから抱きしめながら、彼女が何か後ろめたいのを隠すようにしているように感じた。
――今週初めのことを振り返る。
「美羽、今週末、シェイクスピアのロンドン公演に行かないか? 日本人が演じるみたいだよ」
「舞台、面白そうですね」
「ああ、土曜日なんだけど、その後……」
僕がデートプランを喋ろうとすると、美羽は僕の方を振り返って、あっと口元に手をあてがった。
おもむろに手帳を開いて辿りながら「やっぱり予定があったわ」と言う。
「ごめんなさい。その日は、ミシェルと一緒に出かけるの」
シュンとした上目遣いはわざとじゃないことぐらい分かる。
だが、僕にとっては反則でしかない。ダメだと引き留められないじゃないか。
美羽には自然と人が集まってくる。彼女のやわらかな笑顔や人柄に惹かれるのだろう。
このところ、彼女を独り占めするというわけにはいかないらしい。
毎日神経質だったセクレタリールームのミシェルですら、今は彼女の良き上司で親しい友人だ。
僕は後ろから抱きしめながら、彼女が何か後ろめたいのを隠すようにしているように感じた。
――今週初めのことを振り返る。
「美羽、今週末、シェイクスピアのロンドン公演に行かないか? 日本人が演じるみたいだよ」
「舞台、面白そうですね」
「ああ、土曜日なんだけど、その後……」
僕がデートプランを喋ろうとすると、美羽は僕の方を振り返って、あっと口元に手をあてがった。
おもむろに手帳を開いて辿りながら「やっぱり予定があったわ」と言う。
「ごめんなさい。その日は、ミシェルと一緒に出かけるの」
シュンとした上目遣いはわざとじゃないことぐらい分かる。
だが、僕にとっては反則でしかない。ダメだと引き留められないじゃないか。
美羽には自然と人が集まってくる。彼女のやわらかな笑顔や人柄に惹かれるのだろう。
このところ、彼女を独り占めするというわけにはいかないらしい。
毎日神経質だったセクレタリールームのミシェルですら、今は彼女の良き上司で親しい友人だ。