プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「今度は、ゆっくり温泉に入れるだろうしね」
 潤哉さんの方からくすっと笑われてしまった通り、私が“久美”だった時のこと。

 今、並んでこうしていられるのを不思議に思ってついつい潤哉さんを見つめていると、レイコ伯母さんから冷やかされてしまった。

「本当に大好きなのねー新婚さんはやっぱりいいわね」
「それは、もちろん、旦那さまだし……」

 なんだか、くすぐったい。潤哉さんは笑っているし。

 新館の宿の方ではなく、母屋を挟んだ旧館の方に自宅があり、久美ちゃんはそこで里帰りして過ごしているそう。

 ちょうどおっぱいをあげているところだったようで、気を遣って潤哉さんが待つと、「もう終わりだから、どうぞ」と笑われてしまった。

 おっぱいを頬張った後、背中をトントンとして小さなゲップをすると満足したようにとろんとする赤ちゃん。

ベビーベッドに寝かされてパタパタさせる小さな手を見て、微笑む。

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