プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「舞台は、いつまでやってますか?」
「いいよ。ウィルがいなくなってからで」

棘のある言葉に、ちょっとだけカチンときた。

「さっそく邪魔者扱いしてる」
「僕にとっては邪魔者でしかないよ。君を独り占め出来ないんだからね」

「同じウィルでも?」
 窺うと、潤哉さんはペロリと唇を舐めた。

「んっ……くすぐったい」
「こういうことを許すのは……猫でもイヤなんだ。彼の魂は雄だからね。僕にとっては浮気と一緒だよ」

「子供みたいです」
「そうさせるのは君」

 この攻防戦はいつまで続くかなぁ。
 私よりも、ウィルの方がずっと飽き飽きしてしまったみたい。
 ソファで悠長に目を閉じて、聞き耳だけ立てているみたいだ。

 静まり返ったリビング。抱き合ったままでお互いにウィルの様子をちらっと目に入れる。

 その後は……やさしくて甘いくちづけが待っていたといわんばかりに重なりはじめる。

 手のかかるのは、猫のウィルのお世話より……夫の潤哉さんの方かもしれない。


 会社では素敵上司なのに。

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