プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「呆れてる?」
 甘えたように潤哉さんが訊いてくる。彼なりに反省をしたらしい。

「少しだけ」
 私も拗ねたように返すだけ。

 別に喧嘩をしたいわけじゃないし、嫌いなわけじゃない。
 私たちは色々なことがありすぎたから、この持て余すような幸せな生活に慣れていないだけ。

 何も制限のない暮らしの中で、いくらだって愛し合える。
 ……オフィスではこの頃は自重してるけれど。
 欲しいものは……子猫ちゃんよりも、二人の……。

 彼の熱い掌が私の腹部を這っていく。やさしくお尻から背中を撫でるように触れながら、唇を啄ばんで、舌を差し込んでくる。

 甘くてクラクラしそうなほど滑らかな舌使いに、私の吐息は乱れて、潤哉さんの掌は忙しなく、太腿から胸までを撫でていく。

 彼のキスはいつだって愛撫の始まり。ミシェルがここに来る前にもシタばかりなのに。

「……君が欲しい」

 そう言われるだけで、スイッチが入る。
 愛されたいのと、愛したいのと、それから……甘えたいスイッチが。

「いっぱいしたら、機嫌直してくれる?」
「……どうしようかな。たくさん啼いて、甘えてくれたら」

 潤哉さんは言って、私を抱きあげた。
 さっき、私がウィルにそうしたように、やさしく丸く包み込んで。

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