プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「ん? ほら、出ておいで。君の方がペットみたいだ」
「……だから、聴こえてるくせに」

「おねだりするのは、僕の手が空いた時にしてくれないか。今じゃ何も出来ない」
「そーいうのが欲しくて言ってるわけじゃないです」
「分かってるけど」
「女性ってギャップに弱いんですよ」

「なるほどね。じゃあ、僕がどんなコトをしても、君は嫌がらないはずだ。同じように僕も。互いに弱味を握ってるってこと」

「……悪い意味じゃなくて」
「うん、もちろん。あとは忠告だ」
「え?」

「お預けするのは、僕。分かった?」

 試すように美羽を見ると、意図することが伝わらなかったらしい、濡れた瞳をぱちくりとさせるだけ。

 それでいい。手の内を知られたら、可愛がりようがないだろう。

 女性がギャップに弱いのは分かってるさ。

 君が望むものをハイハイと聞いてしまいがちだけど、本当に欲しい、と言わせたいものなんだ、男はね。

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