プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 互いに身体を乾かして、あたたかな身体を寄せ合いながら眠る。
 ベッドの中では裸でいい。人肌の温度がちょうどいいから、ウエアは何も要らない。

 最初、美羽は戸惑っていたが、一緒に暮らすようになってだんだんと慣れていった。

 着せるとしたら、プライマリーのランジェリー。僕が、美羽を想ってデザインから選んだもの。

 日本向けのジュエル・ランジェリーは好調で、こちらでのリリースもあと少しというところだ。

 英国は、僕にとっては第二の母国だから居心地がいいけれど、出来るなら日本で美羽と暮らしたい。

「恋しくならないか。日本が」

「……うん、時々。和食を食べたくなるの。レストランのシェフの味ももちろんいいけど、家庭料理が一番……私もいつか赤ちゃんが出来て、母親になる日がきたら、“おふくろの味”の見本になれるようになりたいな。でも、私がもしも産休とかになったら、誰が側につくんだろう……ちょっと心配」

「やきもち妬きなのは、美羽の方だ」
 つい目を細めて、抱き寄せると、キスして欲しそうな顔をして、美羽が見つめる。

「さっき言ったはずだよ。お預けするのは僕」
「もう、ウィルにやきもちなのは潤哉さんの方でしょ」

「猫ならね。まだいい。美羽はなんでも頼られすぎるんだ。くれぐれも男には気をつけて」

「ハイ」

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