プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
 蕩けそうな瞳が戸惑うように僕を見つめる。

「……どうしたの、美羽……感じすぎて、辛い?」
「……感じると、いっぱいになるの……好きっていう気持ちが」

 せつなそうに言って、僕に縋る彼女の腰を掬いあげ、僕は昂ぶる熱を彼女の中へ押し込んだ。

 濡れた泉はやさしく水音を立てながら、僕をやわらかくあたたかな奥へと誘い、ぎゅっと幾度となく締めつける。

「同じだよ。僕も。君が感じるたび、おなじように……せつなくなる。幸せなのにおかしいな」

 どれだけ結びあっても、一つにはけしてなりえない人間同士だから、愛しさ余ってしまうと、こうして何度でも欲しい欲求が湧いてくる。

 それは二人の遺伝子が欲しいという本能で片づけられないもの。たとえる言葉さえ見つからない。

 ただ、君を、愛してる……としか。

 そして同じだけ聴きたくなるんだ。その可愛らしい声で。

「美羽、言って」
「……潤哉さん、……」

 熱く揺さぶる中が、激しく乱れていく。珠のような汗が流れるほど、身体を重ね合った時間は、一体どのくらいだっただろう。

「キスして……? 中だけじゃなくて……全部、塞いで……いっぱいにして」

 うわごとのように滲んでいく瞳と、小さな濡れた唇に、僕はたまらず駆けあがりそうになる熱を、キスで封じ込める。

 美羽の細い指を絡めて、深いところまで舌を絡め合わせて、激しく結びあう熱を突きあげながら、僕たちは同時に昇りつめ、果てをみた。



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