プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
「どうしたんですか」
「市ヶ谷副社長と話をしていた」

「ええ。ロンドンに戻られるかと思ったのに、前任のハウエル副社長があちらへ行くなんて」

「君に興味があるっていうんだ」

 子供のように言うつもりはなかったが、美羽はそう聴こえたんだろう、くすくすと笑う。

「ハウエル副社長もそうだったじゃないですか。黒河社長のことをとても気にかけてくださってるんですよ。私にも色々教えてくれました。黒河社長の知らないことを色々……」

 美羽が嬉しそうに話すので、僕はその唇をそっと塞ぐ。

「……ここでは潤哉さんとは呼べないです」
「そうじゃないよ」

「黒河社長って呼べること……嬉しくてはしゃいだから?」

 上目遣いは反則だ、嫉妬でどうこうする気がなくなるじゃないか。

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