プライマリーキス 番外編&溺愛シリーズ
(2)愛妻家と色男
「挨拶をしようと思いましてね、社長に」
挨拶ならしたじゃないか、と言いたげに、潤哉さんは市ヶ谷副社長を見る。不満を滅多に露わにすることのない潤哉さん(私に対しては別だけど)温和な彼が動揺するくらい、市ヶ谷副社長は上手だ。
前任のビリー・ハウエル氏とは全然違う感じ。敵対したいという雰囲気は感じられない。ただ好奇心で見られると私も構えてしまう。
二人にはこれから本社を背負ってもらわなくちゃいけないのだから……仲良くしてもらわないと。
なんとなく義務感に駆られて、そわそわと私は何かアイデアはないか考えていた。
「これから、お世話になります」
潤哉さんは手を差し出して、市ヶ谷副社長も同じようにそうして握手を交わした。ロンドン支社への異動があった式典のときみたいだ。
「いやいや。それはこちらのセリフですよ。それから、披露宴はまだだったね? 相談に乗れるなら、いつでも」
それだ……! 私は思わず食いついた。
「スピーチをお願いしたりとか出来ますか?」
「美羽」
牽制するような潤哉さんの声にドキッとする。ちらっと上目で見ると咎めるように片眉をあげた。
挨拶ならしたじゃないか、と言いたげに、潤哉さんは市ヶ谷副社長を見る。不満を滅多に露わにすることのない潤哉さん(私に対しては別だけど)温和な彼が動揺するくらい、市ヶ谷副社長は上手だ。
前任のビリー・ハウエル氏とは全然違う感じ。敵対したいという雰囲気は感じられない。ただ好奇心で見られると私も構えてしまう。
二人にはこれから本社を背負ってもらわなくちゃいけないのだから……仲良くしてもらわないと。
なんとなく義務感に駆られて、そわそわと私は何かアイデアはないか考えていた。
「これから、お世話になります」
潤哉さんは手を差し出して、市ヶ谷副社長も同じようにそうして握手を交わした。ロンドン支社への異動があった式典のときみたいだ。
「いやいや。それはこちらのセリフですよ。それから、披露宴はまだだったね? 相談に乗れるなら、いつでも」
それだ……! 私は思わず食いついた。
「スピーチをお願いしたりとか出来ますか?」
「美羽」
牽制するような潤哉さんの声にドキッとする。ちらっと上目で見ると咎めるように片眉をあげた。