天使の舞―前編―【完】
何とも柔らかい、乃莉子に向ける笑みとは、明らかに異なる笑顔で、彼方は扉の向こうの訪問者を歓迎する。


「呼びつけて悪いな、シラサギ。」


彼方は、そう声をかけながら、シラサギと呼んだ女性を、扉の中に引き入れた。


「とんでもございません。
アマネ様のご命令です。
何なりと。」


シラサギはリンと鈴を鳴らした様な涼やかな声で答えると、スカートの両端を持ち上げ、軽く膝を折った。


シラサギのその身なりは、まるでメイドカフェの女の子が着るような、まさに正統派のメイド服であり、二人がどんな関係にあるのかは、容易に想像できた。


それと、乃莉子はシラサギを見て少し驚いた。


シラサギの方も、乃莉子を見て軽く目を見張っている。


乃莉子とシラサギの顔立ちが、自分達がそう思うほどに、とてもよく似ていたからだ。

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