天使の舞―前編―【完】
そんな感傷的な空気を払うかのように、部屋の外が騒々しく、ざわめきだした。


ここは、ザッと見渡しただけでも、かなり広い部屋である。


その広い部屋の、閉じた窓から離れたベットへも、騒がしい声が聞こえてきた。


アマネは軽く眉を潜め、床から天井まである大きな窓へと歩み寄り、そっと外の様子を伺った。


何が起こっているのか確かめたアマネは、クッと声無く笑い、乃莉子に教えた。


「天界も覇権を欲して、必死なようだ。
アイツ、魔界まで乗り込んで来たぞ。
どうやってこの部屋までたどり着くか、見物だな。」


「えっ?」


乃莉子は聞き返す。


「…キャスが来た。」


「まぁ…天界の王子が?
何と命知らずな。」


驚きの声をあげたのは、ベットの側まで来ていたシラサギであった。

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