天使の舞―前編―【完】
この王宮、各部屋の窓が出入口になっており、玄関の様な役割を持って造られている。
バルコニーに柵が無いような、出窓と言うには広い、出入りするための丁度よいスペースが設けられているのだ。
窓とは名ばかりの、観音開きの豪奢な硝子の扉の向こうは、グレーの空に覆われた、モノトーンの景色であった。
外からの騒がしい声はまだ納まらず、何がおこっているのか、彼方の言葉から、乃莉子は容易く想像できた。
悠くんが乗り込んできた?
耳を澄まして聞いてみる。
すると微かに、自分の名を呼ぶ悠の声が、耳に入ってきた。
もしかして、私のためにここへ?
自惚れた訳ではないが、乃莉子はそんな思いが頭をよぎり、嬉しさが込み上げた。
無意識に笑みがこぼれる程に。
バルコニーに柵が無いような、出窓と言うには広い、出入りするための丁度よいスペースが設けられているのだ。
窓とは名ばかりの、観音開きの豪奢な硝子の扉の向こうは、グレーの空に覆われた、モノトーンの景色であった。
外からの騒がしい声はまだ納まらず、何がおこっているのか、彼方の言葉から、乃莉子は容易く想像できた。
悠くんが乗り込んできた?
耳を澄まして聞いてみる。
すると微かに、自分の名を呼ぶ悠の声が、耳に入ってきた。
もしかして、私のためにここへ?
自惚れた訳ではないが、乃莉子はそんな思いが頭をよぎり、嬉しさが込み上げた。
無意識に笑みがこぼれる程に。