天使の舞―前編―【完】
「え~と…。はい…。」


乃莉子はシラサギに対して、申し訳ない感情さえ抱いてしまった。


目の前で対峙する、自分によく似た女性が、怒りの表情をしてはいるのだが、あまりにも切なく瞳を揺らしていたからだ。


先程の彼方の様子といい、シラサギのこの態度といい、乃莉子はただならぬものを感じて、聞いてみずにはいられなかった。


「あの…。
私が聞くのは失礼にあたるのかも、しれないんですが…。
シラサギさんと、かな…アマネ…様…は、どういう関係なんですか?
単なる主従関係の様には、見えないんですけど。」


乃莉子は敢えて彼方と言わず、アマネに様を付けて呼んだ。


これ以上、シラサギを刺激する必要はないからだ。


「…。
本当に失礼な質問ですね。
私がメイドに見えませんか?」


シラサギは大きく息を吐き出して、広げていた両手を下げた。

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