天使の舞―前編―【完】
本来なら助けられて、喜びと安堵の声を上げて、感謝するはずの乃莉子が、叫んだ言葉。


「な!何をなさいますか!
降ろして下さいませ!」


ジタバタと足を動かしながら、キャスの小脇に抱えられた乃莉子はそう言った。


「はっ?
なに言ってんの?
迎えに来てやったんだぞ。
ありがたく思えよ。
つーか、おとなしくしてろ!
落ちるだろ!!」


チラッと、キャスパトレイユは乃莉子を見た。


「迎え?
迎えなど必要ありませんし、落ちる事もありません!」


「だから!
さっきから何言ってんだ?
お前、魔界に居たいのか?」


「もちろんです!
私は、悪魔ですから!」


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