天使の舞―前編―【完】
「やべぇ…。
見られちゃったよ。
つぅか、見てんじゃねぇよ!」


あからさまな上から目線で、青年は乃莉子に言い放った。


「はぁ…?」


何で文句を言われているのか、乃莉子は咄嗟に理解できない。


「な・・・!
何よ!そっちこそ!
怒られる筋合いないわよ。
だいたいあなた、どこから出て来たのよ?」


「どこからって…。
俺は、天界の…。
あっ…。いけねっっ!
いや。あれだ。
悠彼方(はるかかなた)の、遠くからだ。」


青年は口ごもりながらも、自分がどこから来たのかを、何とか誤魔化した。


「俺は、ここで誰にも会いたくないんだ。
特に女とは、関わりたくない。」


「はいはい。
ご自由に。」


怒り気味に、呆れたように、乃莉子は適当にあしらった。

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