天使の舞―前編―【完】
「誰だ?お前…。」


キャスパトレイユは、乃莉子によく似た女性に、怪訝な声をかけた。


そして、辺りを警戒するように見渡してから、静かに地上に降り立った。


そそくさと、キャスパトレイユの腕から逃れ、少し距離を取ったシラサギは、スカートを軽く詰まんで膝を折り、敬意を表す。


「天界の王子には、初めてお目にかかります。
私は、アマネ様のメイドでシラサギと申す者でございます。」


「アマネのメイド…?」


きょとんとした表情でキャスパトレイユは、シラサギの言葉をおうむ返しにした。


でもすぐに、いつもの自信満々の顔に戻る。


「で、メイド。
乃莉子は何処だ?」


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