天使の舞―前編―【完】
乃莉子は一風変わったこの青年にため息をついて、何も考えずに口から出た言葉をそのまま言った。


「じゃあ私はこれで失礼します。
悠彼方の遠方よりお見えになった『はるか』さん。
さようなら。」


乃莉子はコスプレ青年に軽く手を振って、この場を離れようとした。


すると青年は、乃莉子の何気なく返した言葉に、物凄い反応を見せた。


これ以上開けられない位の大きさに、目と口を開けて、驚きを表現したのだ。


「お~ま~え~!」


青年の怒りの声に、乃莉子は振り向いた。


「この野郎!
俺に名前付けたな!」


「…?何の事?」


「今、俺を“はるか”って呼んだだろ!
信じらんねぇ、ふざけるなよ。
何で名前つけるんだよ!
意味分かんねぇ!」

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