天使の舞―前編―【完】
アマネは、階段を上る足を止めて、立ち止まった。
狭い階段である。
シラサギの足も止まった。
ゆっくりと振り向き、階段に腰を下ろすアマネ。
その深紅の視線が、シラサギをじっと捉え、物憂げな表情で見つめる。
「シラサギ。
俺は、覇王になる。
この手に、覇権を握らねばならん。」
「よく…存じております。」
「その事で俺は、魔王より命令を承った。」
息苦しい程の沈黙が、二人を包む。
「………。
キャスの妃を奪い、俺の妃にせよ、と。」
シラサギは軽く目を見張り、アマネの言葉を待った。
「告白するよ。
父上の命令を聞いて、最初はそんなの無理だと思った。
でも、乃莉子を見て俺は、お前によく似たこの人間なら、愛せるだろうと思ってしまった。
いや、言い聞かせた。
でもそれは、浅はかな考えだった。
今のこの騒ぎで、自分の気持ちを思い知ったよ。
やっぱり俺は、シラサギじゃなきゃダメだ…。」
アマネが自嘲するように、シラサギを見て笑った。
狭い階段である。
シラサギの足も止まった。
ゆっくりと振り向き、階段に腰を下ろすアマネ。
その深紅の視線が、シラサギをじっと捉え、物憂げな表情で見つめる。
「シラサギ。
俺は、覇王になる。
この手に、覇権を握らねばならん。」
「よく…存じております。」
「その事で俺は、魔王より命令を承った。」
息苦しい程の沈黙が、二人を包む。
「………。
キャスの妃を奪い、俺の妃にせよ、と。」
シラサギは軽く目を見張り、アマネの言葉を待った。
「告白するよ。
父上の命令を聞いて、最初はそんなの無理だと思った。
でも、乃莉子を見て俺は、お前によく似たこの人間なら、愛せるだろうと思ってしまった。
いや、言い聞かせた。
でもそれは、浅はかな考えだった。
今のこの騒ぎで、自分の気持ちを思い知ったよ。
やっぱり俺は、シラサギじゃなきゃダメだ…。」
アマネが自嘲するように、シラサギを見て笑った。