天使の舞―前編―【完】
・・・王宮の門外にある広場。


磔台には天使が一人、鎖でぐるぐるに縛られている。


磔台とはいうものの、実はそんなに立派なモノではなく、丸太が一本、地面に打ち付けてあるだけの、簡素な代物であった。


ただ、重量はかなりありそうで、準備には人手も時間もかかったようだ。


乃莉子のお陰で大きな白い翼はまだ、キャスパトレイユの背中に留まっていた。


キャスは、丸太を背中の翼で抱え込むように、後ろ手に手首を鎖で縛られている。


胸元と腰と足首も、動けないようにしっかりと、鎖で丸太に巻き付けるように、固定されていた。


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