天使の舞―前編―【完】
「キャスパトレイユ!」


アマネは咄嗟に、後を追って壁をすり抜け、鏡に飛び込む。


「アマネ様!」


壁際に居たシラサギは、慌てて駆け寄り鏡の前に立った。


「アマネ様の元へ!」


鏡にそう叫ぶと、シラサギも鏡の向こうへと消えて行った。


部屋の中には、鏡面が波打つ天魔の鏡と、割れたガラスが残され、主が不在になった静けさに、どす黒かった空気は姿を潜めたのだった。


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