天使の舞―前編―【完】
-――。


天界王宮の謁見の間。


王と王妃は、既に王座に座って息子たちを待っていた。


和やかに交わされている談笑が、二人の仲の良さを伺わせる。


話題は勿論、二人の愛すべきわがまま息子、キャスパトレイユの事。


王と王妃である前に、彼らは子煩悩な父と母であった。


「シンシア。
やはりキャスパトレイユは、私たちの息子だ。
人間の娘を妃に選んだな。
でもきっとアイツの事だ、覇王にはならないと、言い張るに決まっている。」


天王ウェルザは、呆れた顔を妃に向けた。


「ふふ・・・。
誰かさんと同じようにね。
説得するのが大変そうだわ。
それと。
アカツキの子供もここへ来るのでしょう?
私、会うの初めてよ。
ふふ・・・楽しみ。」


シンシアは夫である天王ウェルザに、微笑んだ。

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