天使の舞―前編―【完】
アカツキは、当然といった態度で、口元を歪めウェルザを見る。


「私は、魔王だ。
私の態度に、何か問題があったか?」


そんなアカツキに、ウェルザはため息で答え、シンシアは笑顔を向けた。


「お久しぶりね、アカツキ。
ご無沙汰してた間に、随分と魔王らしくなったのね。」


そう言って、またシンシアはコロコロと笑った。


アカツキは、玉座に座るシンシアの背中に白い翼を確認して、かつての悔しさが甦ってきた。


「シンシア…。
お前は黒い翼をまとってくれると、信じていたのに。」


アカツキの呟くような力のない声に、シンシアは柔らかい口調で、言葉を紡ぐ。


「あらぁ…いやだわ…。
アカツキが選んだのは、私より覇権だったじゃないの。
ウェルザが選んだのは、覇権より私だったわ。
だから私は、天使になったのよ。」


「そんな風に言うな!
俺はお前を欲した。
魔界が覇権を欲したんだ。」


悲痛な叫び声が、広間にこだました。


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