天使の舞―前編―【完】
乃莉子の頭を支配しているのは

『人間界に帰りたい』

その思いのみであった。


どうすれば帰れるんだろう。


初めて会った時、キャスパトレイユもアマネも、シャボン玉の中から出てきた。


どうやれば、シャボン玉の中に入れるのよ。


乃莉子は考えてはみたものの、結論に辿り着く訳もなく。


とりあえず、部屋を抜け出る事にした。


部屋の中にこもっていても、何も始まらない。


この数日間で、乃莉子には少しの勇気と、少しの行動力と、少しの柔軟性が身に付いていた。


廊下に出た乃莉子は、ゆっくりと扉を閉めて、気持ちを引き締めた。


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