天使の舞―前編―【完】
―――。


天王宮、鏡の間。


シュカは、乃莉子の押しに負けた・・・フリをした。


乃莉子を人間界へと降ろすため、ここへ連れてきたのだ。


シンシアが何故、あんな場面であんな余計な台詞を、わざわざ言ったのか。


たぶん、こうなる事を予想してだと思われた。


キャスパトレイユと乃莉子。


今後の二人の担う役割の重さを思ったら、お互いの想いの程を、試したくなったのだ。


特にキャスパトレイユの面倒くさがりと俺様ぶりには、シンシアもほとほと手を焼いていた。


乃莉子が人間界に帰ったら、キャスパトレイユはどう出るか、その行動が楽しみであったのだ。


シュカにも、なんとなしに、シンシアの思いが伝わっていたのだろう。


敢えて乃莉子の押しに負けてみせたのだ。


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