天使の舞―前編―【完】
「乃莉子様。
本当によろしいのですか?
キャスパトレイユ様に、一目お会いしてから行かれては?」


それでも、という思いで、シュカは乃莉子に声をかけてみた。


乃莉子は、静かに頭を左右に振った。


シュカは乃莉子の固い決意を感じ取り、諦めとも納得ともとれる、薄い笑みを浮かべた。


「では、参りましょう。」


シュカは、乃莉子を抱き抱えると、ためらうことなく天魔の鏡の中へと足を踏み入れた。


乃莉子は、ギュッと目をつむり、心の中で呟いてみる。


『さよなら。
キャスパトレイユ。
また・・・会えたらいいね・・・。』


天界から乃莉子は、完全に姿を消した。

< 223 / 230 >

この作品をシェア

pagetop