天使の舞―前編―【完】
「乃莉子、本当なんだ。
まぁ人間のお前には、ウソみたいに聞こえるんだろうな。」


そう言うと、悠は立ち上がり両手を自分の目の前でクロスさせた。


弱い風が舞い上がり、悠の周りだけを取り囲む。


くるくると細かな白い羽が、風と共に悠を包んだ。


数秒、悠が羽で見えなくなる。


風が止んで現れたのは、今朝見たコスプレ姿の悠だった。


「え・・・!」


思わず乃莉子は、手にしていたスプーンを落としてしまいそうになる。


「何度も言うけどな。
俺のこの翼。ホンモノ。」


悠はパタパタと、翼を動かして見せた。

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