天使の舞―前編―【完】
『これでこの女は、俺のモノでもあるわけだ。
もう、後に退く訳にはいかなくなった。
本当の戦いの始まりか。
魔界も天界も人間界も、そして乃莉子も俺が貰うぞ。』


彼方という名前をもらった青年は、心の中で静かに誓った。


そして乃莉子の目の前で、パチンと指を鳴らす。


「え・・・!?」


乃莉子は正気が戻ったように、背筋が伸びる。


「私・・・?え・・・?」


「確かに名前、受け取った。
お前は俺の妃だ。」


彼方は乃莉子を見つめると、妖しくも意味深に微笑んで、乃莉子を現実に連れ戻す言葉を口にした。


「これからどうするんだ?」


『これから…?』


「!!!!!!お店~!!!」


こうして乃莉子は不本意ながら、昨日以上に遅れてメルヘンに出勤することになってしまった。

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