天使の舞―前編―【完】
もちろんマッハのスピードで、乃莉子はメルヘンに向かった。


とは言え、乃莉子基準のマッハである。


彼方にとっては、早足程度のものでしかなかった。


やっとの思いでメルヘンにたどり着くと、昨日同様店先で宮田が待っていた。


「広木さぁ~ん・・・。」


呆れたような宮田の言い方。


『今日はさすがに、怒られちゃう。』


連日の遅刻に、乃莉子は首をすくめて頭を下げた。


「も・・・申し訳ありません!」


しかし。


「今日も男連れなのぉ?」


宮田はやはり着目点がずれているようだ。


腕を組んで、メルヘンの看板を見ている彼方をチラチラと気にしている。


『そこ?遅刻はいいの?』


てっきり、遅刻についてお叱りを受けると思っていた乃莉子は、かなり拍子抜けした。

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