secret lips  -この恋は秘密-

「お前ら寄り道しないで早く帰れよー」


相模は軽く会話を交わし再びこっちに向かって歩いてきた。


視線を合わせないように横を通り過ぎようとした私の手に


一瞬だけあの男の手が触れた


触れた?


ううん、わざとだ。


あの男はわざと私の小指に自分の小指を絡めたのだ。


どこまで私をからかえば済むんだろう。


こうして動揺してる私を楽しんでるに違いない。



怒りで顔が、かぁ…と熱くなるのを感じた。



「渡辺?」



「・・・何でもない」



これ以上、あの男に振り回されるのはゴメンだ
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