もう少し、このままで。
さらに、一瞬辺りが明るくなったかと思えば、何かを裂くような荒々しい音が轟いた。
「雷だ」
「怖いですか?」
「全然?私はむしろ『雷イエーィ!』っていう方の人」
真顔で聞いてくる彼を笑顔で一蹴する。
むしろ今どきいるの?
『きゃぁぁー!雷コワーイ!』
なんて人。
私見たことないよ。
「もしかして怖いの?雷」
「怖くないですよ」
からかうように下から顔を覗き込むと、ふてくされたように顔を背けた。
可愛いヤツ。
「そんなこと言って実は図星だったりして」
「違います、 って」
「?」
彼の目が急に泳ぎ出した。
「どうかした?」
「いや、あの…」
「どうしたのよ」
おずおずと私の耳に顔を寄せてくる。
なに?
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