あたしは美味しくない!!
「わぁぁぁぁーーれ?」
ガバッと飛び起きると、そこは広い草原で、脇で焚き火が燃えている。
ーーなんだ……夢か……。
ほっとしたと同時に、もう袋はつつかないと決意する。うねうね動くと非常に危険だ。
「悪い夢でも見ましたか?」
「ふぁわわ!!」
あくびしそうなところに声をかけられて飛び上がった。振り返ると、ウィルがティーカップ片手に困った顔をしている。
ーーあれ?
ウィルの瞳が、赤く見える。昨日までは青だったはず……何度か目を瞬かせて、もう一度見てみると、昨日までと同じ青い瞳が不思議そうにあたしを見ていた。
「僕の顔に、なにかついてますか?」
「あ、ううん。なんでもないの。おはよう!」
ーーあたしったら、寝ぼけたのかな?
「おはようございます。……二人はまだ、起きないと思いますよ」
そう言われて視線を巡らせると、空はまだ薄暗いし、カインとダネルは毛布にくるまって眠っていた。
「しっぽ……」
毛布にくるまったカインの頭からは、ちょこんと狼の耳が生えていて、毛布の下からはみ出るように、もこもこの狼のしっぽが覗いていた。
「ああ。彼、眠っている時はいつもそうですよ。その姿が一番楽なんだそうで」