あたしは美味しくない!!


「そうなんだ。しっぽ……もこもこね……」

 とてもとてもわしゃわしゃしたい……。そうっと、しっぽに手を伸ばしてみる。

「あ、触ると怒られますよ」

「んー……でも……眠ってるし……」

 すごくさわり心地が良さそうなんだもん。そうっと手を伸ばして、あと少し……。

「さわんな」

「わっ!」

 あわてて手を引っ込める。さっきまで閉じていた目を薄く開けて、ジッと睨まれた。

「かかか、カイン、おはよう……」

「……まだ寝る。しっぽに触るなよ」

 念をおすように言って、また目を閉じてしまった。

「……びっくりしたぁ……」

「ほら、怒りましたね」

 ウィルがくすくすと笑いながら言う。

「うん……。怒られちゃった」

 カインのしっぽは諦めて、ダネルの方を覗いてみることにする。

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