あたしは美味しくない!!
「カインに会って、その後ダネルに会って、三人で旅をして……とても楽しいです。でもーーこうして喉が渇く度に、吸血鬼であることが嫌になります」
「ウィルは、吸血鬼の自分が嫌いなの?」
「……好きでは、ないです」
「でも……でも、あたし、ウィルのこと好きよ?それに、怒っちゃうかもしれないけど、ウィルが吸血鬼になって良かったって思うの」
「どうして、ですか?」
ウィルは怒らなかったけれど、納得出来ないという顔だった。
「だって、ウィルが人間だったのは100年も前なんでしょ?もし人間のままだったら、今頃ヨボヨボのお爺ちゃんだわ」
「と言うより、たぶん死んでます」
「そんなのもっとダメよ!会えないじゃない!あたし、ウィルが吸血鬼になったから会えたんだもの。それにーー」
「それに?」
「ウィルが人間でも、吸血鬼でも、変わらないと思うの。体質は変わっちゃったかもしれないけど、性格はウィルのままだと思うわ」
「そう、ですかね」
「きっとそうよ!だって、今あたしの前にいるウィルは、とっても優しいもの」