あたしは美味しくない!!



「……ここはベネディクト平原だ」

 右端の子がぽつりと言った。どうやらあたしに言ってくれたらしい。

「あ、ありがと」

 ――でも、べねでぃくと平原って、どこ……。

「とりあえず、お前、迷子なんだな?」

「え、あ――」

 ――そっか、あたし、迷子なんだ……。

「……うん」

「……泣くなよ」

「だってぇ……」

 迷子だと自覚したとたん、心細くなって目が潤む。

 ――こんな訳わかんない所にきちゃって……どうしよう……。

「……とりあえず、一人でいるとあぶねぇから、俺等と来い」

「ふぇ……?」

 突然の申し出に戸惑った。

 ――えと、こういうのなんて言うんだっけ……なんぱ?

「……別に変なことはしない。喰われないように言ってるだけだ」

 右端の子が安心させるように言った。

 ――いや、全然安心できないよ!?


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