あたしは美味しくない!!
ドキドキうるさい心臓をそのままに、ウィルに手を引かれてログハウスの玄関に向かう。
玄関の扉を開け放って、カインとダネルが外を見ていた。
「お、やっと来た。ほら、酸性雨やんだぞ!」
カインが外に出て、空を指差す。
「……へこんでるかと思ったが、昼間からなに口説いてるんだ」
ダネルがつながれた手を見てため息をつく。
「口説くだなんて、品のない言い方しないでくださいよ。可愛らしい人に対する男としての礼儀です」
「なんでもいいから離せ」
ダネルに冷たく言われて、ウィルはやれやれと肩をすくめて手を離す。
「おーい!虹が出てるぞ!虹!」
ーーああ。カインは平和ね……。
あたしたちも外に出ると、頭上をまたぐように、大きな虹が架かっていた。
「すごい!虹の橋の下にいるみたい!」
くるくる回りながら空を見上げていると、少しずつ虹が薄れていってしまう。
「あー……消えちゃった」
「キレイだったな!」
「うん!とっても!」