あたしは美味しくない!!



「う、腕だけの魔物とか……いるの?」

「ただしくは腕だけになった魔物だな」

「えぇ?!」

 ーーそれってつまり……えぇ?!う、腕が取れても腕だけで動いてるとか、そういう……。

「理解できないことは無理に理解しなくていい。認識だけしておけば十分だ」

「う、うん」

 ーー頭パンクするかと思った……。あたしの理解力じゃ追いつかないわ……。

「とりあえず、ぬるくなる前に飲もうぜ」

 プシュッと音を立てて、三人ともプルタブを開けていく。最初に口をつけたウィルは、そのまま一息に飲み干してしまった。
 ほぅ、と小さく息を吐いて細めた目は赤かったけれど、あたしの視線に気づいて微笑む目は青かった。

「美味しかった?」

「ええ。喉の渇きも治まりました」

「そう、よかった!ーー二人は、なに飲んでるの?」

 缶に口をつけ始めた二人に訊いてみる。



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