あたしは美味しくない!!



「やっ、食べないで……!!」

 目をぎゅっとつむると、困ったような笑い声が聞こえた。

「食べたりしませんから、手をどうぞ」

「あ…あり、がと」

 恐々と、差し出された手を握った。そのままひっぱり起こされる。

「自己紹介がまだでしたね。僕はウィルと申します。えと……吸血鬼、です」

「ウィルくん?」

「ウィルで構いませんよ。それと、こっちが――」

 ウィルが、真ん中の子に目を向ける。

「カインだ。狼男」

「……悪魔。ダネルでいい」

カインに次いで、右端のダネルが名乗った。

 ――ウィルに、カインに、ダネル。吸血鬼、狼男、悪魔……。

 頭がくらくらする。一体なにがなんだか……。

「で?お前は?」

「へ?あたし?」

「俺等は名乗ったぞ」

「あ、そっか。えと……あたしはミカだよ。えと、人間です」

 たどたどしく名乗った。


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