あたしは美味しくない!!



「楽しい、か。まぁ、そうかもしれないな」

 そう言って、ふっと微笑んでくれた。

 しばらくみんなで会話していると、ウィルとカインの分の食事が運ばれてきた。

 ウィルのは、ワイングラスに注がれた赤い飲み物ーーたぶん、血だと思う。

 カインのは、お皿に乗った大きなステーキーー生でもステーキって言うのかな……?

「……それ、生だよね?」

 血がぽたぽたしたたってるし……。

「ん?ああ、美味いぞ。なんなら一口食うか?」

「あ、ありがと。でも、遠慮します……」

 そうか?と言って、あたしに差し出してた分を自分の口に運ぶ。意外にも、きちんとナイフとフォークを使って食べていた。

 ウィルの方は、さっき飲んだから余裕があるのか、こくり、こくりと一口ずつゆっくり飲んでいた。

「味って、違うの?」

「ええ。特に採りたてのものはまだ温かくーーあ、いえ」

 ウィルが慌てて口をつぐんで、ばつが悪そうにする。

 ーーええと、血を採りたてってことは、ええと……厨房に人間が保管されてるとか……ええと……。

「ええと……」

 どう切り返せばいいのか分からない……。

「……魔女たちは人間相手にも商売や取引を行っている。血筋の良い人間と契約して、派遣させているんだろう」

「そ、そうなんだ」

 ーーずいぶん特殊な派遣先なのね……。

「生きている限り採取可能だからな。身体的ダメージや精神的ストレスは品質に悪影響だ。その辺りも徹底されている」

「なるほど」

 ーーなんて言うか……乳牛、みたいね。

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